簿記における値引・割戻・割引
値引き、割戻し、割引・・・。
どれも似たような言葉で、普段の生活ではあまり違いを意識しません。
特に値引きと割引は。
結構そこが落とし穴で、実際の試験で出てくると「あれ、どっちが何だったっけ?」と混乱します。
値引き
普段の生活においての値引きは、「100円おまけしといたよ」的な感じでしょうか。
簿記で言う値引きは「商品に欠損など品質が悪い箇所があった為、値段を下げる」という意味合いになります。
仕分けは逆仕訳で行われます。
割戻し
普段の生活では割戻しはあまり使いませんね。
簿記で言う割戻しは「大量購入するので、値段を下げる」意味合いです。
10個買うと1個分無料とかああいう感じ。
割引き
普段の生活では、「10%割引きます」という感じ。
簿記の世界では、「掛に対して早めに決済するので、その分を割引きします」という事で、他と異なる。
仕入割引は「営業外収益」、売上割引は「営業外費用」となる。
☆仕入側の例
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
買掛金 | 1,000,000 | 当座預金 | 970,000 |
仕入割引 | 30,000 |
☆販売側の例
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 970,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
売上割引 | 30,000 |
結論
割引だけは他と異なる!
広告方法の「官報」って何
H20年度 第16問 設問1
個人事業を営んでいるA氏は、事業の信用を高めるため株式会社の設立を準備中である。かねてから親交のある中小企業診断士であるあなたに、会社法が平成18年5月に施行されたことにより会社の設立方法が変わったと聞いたがどのようになったのか質問があった。また、資本金はいくらにすればよいか、設立後に注意しなければならないことについてアドバイスを求められた。
文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。
公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなった。ただし、定款に記載する場合は、官報に掲載する方法か日刊新聞紙に掲載する方法のいずれかを定めなければならない。
株式会社には公告が義務付けられている。
掲載する媒体は選ぶことが出来、「官報」「時事に関する日刊新聞紙」「電子公告」の3つがある。
上記過去問では、「電子公告」の記載が無かったので不適切という事になる。
何故絶対的記載事項ではないのか
会社設立時の定款に記載しなければ、自動的に「官報」になる。
官報の広告掲載費は結構高めだが、定款に載せなくてもOKとの理由で、官報を選ぶ(自動的だが)企業も多い。
官報って何
法律、政令、条約等の公布をはじめとして、国や特殊法人等の諸報告や資料を公表する「国の広報紙」「国民の公告紙」としての使命を持つ。会社の公告として、合併公告、決算公告なども掲載される。
電子公告のメリット・デメリット
電子公告は自社のWEBサイトに掲載すればOKなので、官報掲載料などは不要になる。
但し、5年間は継続して公開しなければいけない為、マイナスイメージに繋がる情報がある場合も載せ続けなければならない。
損益分岐点比率から変動費率を求める
損益分岐点分析も出題率が高く、派生の問題が多い傾向です。
簡単な問題はスラスラ解けるんですが、中には連立方程式を使わないと解けない出題がされた事もあります。
損益分岐点とは
原価と等しく、利益が丁度ゼロになる営業量の事。
公式
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高ー損益分岐点売上高×変動費率ー固定費=0
or
損益分岐点売上高=固定費÷(1ー変動費率)*1
損益分岐点比率
損益分岐点売上高を実際の売上がそれだけ超えているかを分析する。
低ければ低い方が望ましい。
安全余裕率
安全余裕率=(実際の売上高ー損益分岐点売上高)÷実際の売上高
=1ー損益分岐点比率
実際の売上高が損益分岐点売上高までどれくらいの余裕があるかを示した指標。
高ければ高いほど望ましい。
過去問から考える
平成23年度 第11問
売上高と損益分岐点売上高を求める
売上高=営業利益÷売上高営業利益率=16,000万円
損益分岐点売上高=16,000円×75%=12,000万円
公式に当てはめる
損益分岐点売上高=固定費÷(1ー変動費率)
12,000=固定費÷(1ー変動費÷16,000)・・・①
このままでは解けないので、連立方程式を用いる必要があります。
営業利益が分かっているので、営業利益の式を作成します。
1,600=16,000ー(変動費+固定費)
固定費=14,400ー変動費 ・・・②
②を①に代入します。
12,000=(14,400ー変動費 )÷( 1ー変動費÷16,000 )・・・③
式を解くと、
変動費=9,600
変動費率=9,600÷16,000=0.6
よって、60% が正解となる
結論
漠然と公式を覚えるのではなく、損益分岐点売上高と安全余裕率との関係性を抑える事が大事
ROA (Return On Assets)
財務経験の無い独学者の自分にとっては「ROA」「ROE」「ROI」なんかは違いがサッパリわからず、無理矢理暗記して試験に臨んでも、少しひねった問題を出されるとお手上げな状態になります。
そんな「ROA (Return On Assets) 」についてまとめました。
読み方と意味
あーるおーえー
りたーん おん あせっつ
Assetsは「資産」という意味
つまり、「所有している資産でどれだけの利益(リターン)があるか」という指標のこと。
Wikipedia
総資産利益率は、当期純損益を総資産で割った数値である。経営資源である総資産を如何に効率的に活用して利益に結びつけているかを示している。総資産利益率は、「売上高利益率×総資本回転率」という形でも表される。売上高利益率は収益性を示す指標であり、総資本回転率は効率性の指標であるが、総資産利益率は収益性と効率性を同時に示す指標である。
独学者が難しく感じる理由
既に記載しているのですが、ROAという単語に対して「営業利益」「経常利益」「事業利益」といった分子がコロコロと入れ替わる所です。この辺りはあまり詳しく解説している参考書が無いと思われます。純粋にROAは当期純利益を総資産で割った値だ!と覚えていたら事業利益で考える問題でバツになるなど、少々理不尽な思いをします。だって「分子は純資産」って書いていたんだよぉ・・・。
結論
ROAは「投資した資産に対するリターンの値を図る指標」と覚える事にしました。
総資産に対して「営業利益」「経常利益」「事業利益」あるいは「当期純利益」がどれくらいの割合になるのか考えると、腑に落ちた気がします。